ヒトは進化の過程で四足歩行から二足歩行に変化し、膝にかかる負担が大きい形態になってきました。
そのため、膝が加齢に伴って負担を受けて変形してくるのは、必然で、ヒトの弱点ともいえる場所になっています。
日本人の6人に1人は関節に関しての訴えを持っていると言われている中で、膝関節の痛みは最も頻度が高いという報告もあります。
膝の加齢による変形で最も注目すべきなのは、半月板です。
<引用>プロメテウス解剖学アトラス 第2版より
半月板は内側と外側に一つずつある軟骨のような組織です。
この半月板が大腿骨と下腿の骨(脛骨と言います)に挟まれる形で存在します。
ヒトは二足歩行なので、重力がある限り常に半月板には体重分の負荷がかかっています。
そのため、長年歩いて生活している人であれば誰しも半月板は擦り減って薄くなってきてしまいます。
このように半月板が擦り減ってくることは、避けられません。
しかし、半月板が擦り減ることが、膝の痛みに直結するわけではありません。
なぜかというと、半月板にはもともとほとんど神経が通っていないからです。
神経がないと痛みを脳に伝えることもできないため、痛みを感じることはありません。
だからこそ、半月板自体が擦り減ったことで膝に痛みを感じることはないのです。
では、膝の痛みはどこからきているのか? なぜ半月板に注目する必要があるのか?
それは、半月板が擦り減ることで擦り減った時に出た粉が関節の膜(滑膜と言います)に接触して、痛みを引き起こすからです。
擦り減った時に出る粉があまりに多く関節内の膜に接触してしまうと、関節が炎症を起こして膝が腫れます。
そうならないためには、『半月板に局所的に負荷をかけないように膝を使う』ことが必要です。
半月板に局所的に負荷がかかる状態とはどんな状態なのでしょうか?
まず考えられるのは、O脚やX脚など膝が横に「く」の字に折れ曲がってしまう状態です。
さきほども説明しましたが、半月板は膝の内側と外側に一つずつあります。
これが、O脚の人であれば、内側の半月板にだけ強く体重分の負荷がかかるため、内側の半月板の擦り減りが早まり、膝の内側に痛みが出やすくなります。
X脚であれば、O脚とは逆に外側の半月版に負荷がかかるため、外側が擦り減り、外側に痛みが出やすくなります。
また膝が曲がっていて伸び切らない状態(縦に「く」の字になる状態)でも『半月板に局所的に負荷をかけないように膝を使う』ことができなくなります。
これは膝がまっすぐ伸び切った時に大腿骨が半月板と接触する範囲が広くなり、曲げていくと接触する範囲が狭くなることが原因です。
膝が曲がってしまうと、大腿骨と半月板が接触する範囲が狭くなるため、半月板に局所的に負荷がかかってしまい、痛みにつながってしまいます。
<引用>プロメテウス解剖学アトラス 第2版より
『半月板に局所的に負荷をかけないように膝を使う』ためにはどうしたら良いのか?
要はO脚、X脚、膝が曲がった状態を改善することが必要になります。
擦り減った半月板をもとに戻すことはIPS細胞の研究が進まない限り今はまだ不可能です。
しかし、もともとO脚、X脚、膝が伸び切らない人は少なく、後天的な身体の使い方でそうなっていってしまう人がほとんどだと思います。
そのため、身体の使い方を治すことである程度それらを矯正することはできますし、それによる痛みを予防・改善することもできます。
厳密にいうとひとえにO脚といっても様々なタイプがあるので、一概には言えないところはありますが、
・O脚の方⇒お尻(殿筋)のストレッチ
・X脚の方⇒内もも(内転筋)のストレッチ
・膝が伸び切らない方⇒もも裏(ハムストリングス)のストレッチ
が効果的になります。
症状がある方や、該当する方はぜひやってみてください。
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